Mobile Psych Labの第三弾は、意志決定支援ツールです。
妻が新しいサングラスを買うというので、一緒に眼鏡屋に行きました。
妻:これはどう?
私:いいんじゃない?
妻:これは?
私:いいんじゃない?
妻:じゃあこれは?
私:いいんじゃない?
妻:じゃあどれが一番いい?
私:いいんじゃない?
怒られました…
途中から「どれでも一緒じゃん」という気分になってきて、それで上の空の受け答えをしてしまいました。ごめんなさい。
だって、どれも似たようなサングラスだし、3個目のサングラスを見せられたときには、もう最初のがどうだったか覚えていないですし…
そもそも我々人間にとって、たくさんの候補をいっぺんに比べてランキングを決めるのは非常に難しいのです。
飛び抜けて優れた候補があれば、第一位を決めるのは簡単かもしれません。でも、どんぐりの背比べ状態だったら?第一位だけじゃなくて、2位や3位も決めたいとしたら?
どーれーにーしーよーうーかーな!は一つの伝統的な解決策ですが、心理学者が研究のためによく利用するやり方に、一対比較法があります (paired comparison method) 。
心理実験の参加者に、いくつかの比較対象(絵とか言葉とか)のランキングをつけてもらいたかったとします。このとき、いきなり全部をいっぺんに見せてランキングをつけろ、とは要求しません。
じゃあどうするかというと、比較対象の中から二つだけを選んでペアにして、その二つだったらどっちが良いか、を回答してもらうんです。二つの事物の比較だったらなんとかなりそうですよね?
この手続きを、それぞれの比較対象が、他の全ての比較対象と少なくとも一回はペアになるように「勝負」させていきます。要するに総当たり戦方式です。そして、総当たり戦が終わったとき、それぞれの比較対象が何回「勝負」に勝ったかを見れば、全体のランキングが明らかになります。
これが一対比較法です。
総当たり戦なので、比較対象の数が増えるほど比較回数が増えてしまうのが悩みの種です。
・今夜は食事作るのが面倒だから外食にしよう。じゃ、どこに行く?
1) いつものイタリアンレストラン 2) 新しくできた寿司屋 3) 激安うどん 4) やっぱり家で食べる
-> 比較回数6以上
・ネコを引き取ることにした。どのネコにする?
1) ふく 2) モモ 3) ちんぬく 4) はな 5) マイケル 6) タマ 7) ゆず 8) ニラタマ
-> 比較回数28以上
・来月生まれてくる待望の長女!名前はどうする?
1) 陽菜 2) 結愛 3) 結衣 4) 香 5) 綾乃 6) 奈美恵 7) 愛理 8) 百合香 9) ゆうな 10) 葵
-> 比較回数45以上
このアプリは一対比較法を利用して、あなたの頭の中でモヤモヤとしている主観的ランキングを明らかにします。
いろいろな場面で活用してみてください。
私は眼鏡屋に行ったときに使うつもりです。
註)ちんぬくとは沖縄の里芋のこと。